対象構造物は宅地内のL型擁壁で、竣工から数年を経て、徐々に沈下したものと考えられる。
南西側コーナー部分で最大約96mm沈下、天端隙間で最大約53mmのズレ、前面段差で最大約28mmの傾きが確認された。
対象構造物は大阪府茨木市彩都地内にあり、万博記念公園駅より出ている大阪モノレール彩都西駅から東へ数分の位置にある。(箕面市と高槻市に挟まれて閑静な新興住宅地区)
擁壁の目地付近でズレが確認されたが、盛土の背面土圧による側方流動でなく擁壁下部の地盤沈下による傾きでズレが生じたと判断できた。沈下修正の方法として基礎形状・施工性・経済性・安全性を判断し特殊注入のJOG工法が採用された。
この構造物は長年の地盤の圧密により沈下した。そのため、擁壁全体が傾き、目地部のズレが生じた。擁壁の剛性は保たれた状態で傾斜している。なお、圧密沈下はほぼ終息域にあると考えられる。